後遺障害等級認定までの流れ

仕事中(勤務中・通勤中)の労災事故による治療を受けた結果、一定の後遺障害(後遺症)が残ってしまった方々は、労災保険の「障害(補償)給付」を請求(申請)することができます。

障害(補償)給付は、被害者の方々の負った後遺障害に対して、労働基準監督署が認定した後遺障害の等級に応じた金額が支給されます。

なお、保険給付の名称については、業務災害の場合には「補償」が付きますが(○○補償給付)、通勤災害の場合は「補償」が付きません(○○給付)。

「障害(補償)給付」の場合、業務災害であれば「障害補償給付」、通勤災害であれば「障害給付」が名称です。

後遺障害の種類は極めて多様ですが、例としては、身体の一部の欠損、機能の喪失や低下、麻痺や痛みの残存、関節可動域の制限などが挙げられます。

このページでは、後遺障害(後遺症)が等級認定されるまでの手続きの流れ(① 治療の終了→② 障害(補償)給付の請求→③ 後遺障害の等級認定)をご説明します。

① 治療の終了(症状固定)

労働災害で怪我や病気を負ってしまった労働者の方々は、多くの場合、休職して病院で治療を受けます。

病院へ支払う医療費や、休職中の生活費については、労災保険から保険給付を受けることが通常です(医療費については「療養(補償)給付」、休職中の生活費については「休業(補償)給付」)。

そして、怪我や病気の治療を続けていると、いずれ主治医の先生から、「症状固定」との診断を受け、ひとまずの治療を終える時期がやって来ます。

このときに、身体に一定の後遺障害(後遺症)が残ってしまっている方々は、そのことに対する補償として、所轄の労働基準監督署に、労災保険の「障害(補償)給付」の請求(申請)を行うことができます。

② 障害(補償)給付の請求

「障害(補償)給付」は、被災した労働者の勤務先(事業場)を管轄する労働基準監督署に、所定の請求書(業務災害の場合は様式第10号/通勤災害の場合は様式第16号の7)を提出することにより請求します。

この際には、主治医の先生に、「障害(補償)給付」請求用の所定の診断書を作成してもらい、請求書に添付する必要があります。

「障害(補償)給付」の請求を受けた労働基準監督署の担当者は、提出された診断書等の資料を精査するとともに、必要に応じて、労働者ご本人への電話聴取または面談聴取等を行い、労働者の後遺障害(後遺症)の重さや大きさを調査します。

請求書を提出してから、後遺障害等級の認定(決定)がなされるまでの期間は、実務上おおむね3か月が目安とされています。ただし、事案によっては、それ以上の時間が必要になる場合もあります。

③ 後遺障害の等級認定

調査を終えた労働基準監督署は、被災した労働者の後遺障害(後遺症)が、後遺障害等級の第何級に該当するのか(またはどの等級にも該当しないのか)を認定し、決定の結果を通知します。

労災における後遺障害等級は、障害の程度に応じて、第1級から第14級に分類されています(第1級が最も重く、第14級が最も軽いです)。

このうち、第1級~第7級が認定された場合には、障害(補償)等年金、障害特別年金、及び障害特別支給金が支払われます。

また、第8級~第14級が認定された場合には、障害(補償)等一時金、障害特別一時金、及び障害特別支給金が支払われます。

後遺障害等級が認定された場合には、請求者が指定した振込口座に、給付金が支払われます。

具体的な手続きの流れは、下記の図もご覧ください。

障害(補償)給付の手続きの流れ

また、

  • どのような後遺障害(後遺症)に、第何級の後遺障害等級が認定されるのか
  • 認定された後遺障害等級の、具体的な支給金額はいくらか

については、こちらをご覧ください。

keyboard_arrow_up

0112807272 問い合わせバナー 無料法律相談について