できます。
労働者を1人でも雇用している事業主は、労災保険への加入義務があります。仮に会社が労災保険に未加入でも、それは労働者の落ち度ではなく、労働者は労災請求を行うことができます。
できます。
労災保険は、パート・アルバイト・契約社員の方々を含む全ての労働者に適用されますので、労災請求を行うことができます。また、労災保険からの給付内容も、正規雇用者と同様です。
退職した後であっても、労災請求(申請)をすることはできますか。
労災請求は、退職の前でも退職の後でも、行うことができます。
ただし、請求権が時効消滅する前に行う必要がありますので、お早めに請求されることをお勧めします。
現在、勤務先から退職を求められているのですが、退職した場合、休業(補償)給付は打ち切りになってしまうのでしょうか。
退職することによって、休業(補償)給付が打ち切られることはありません。
労災保険の給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはないためです(労働者災害補償保険法12条の5第1項)。
なお、業務災害の場合には、使用者は、原則として、負傷や疾病のために療養休業している労働者を解雇することはできません。会社にとって、業務災害で休職中の労働者を解雇するハードルは非常に高いですので、自分から退職されるかどうかの判断は、慎重になされることをお勧めします。
労災保険からお金を支給されていても、会社に損害賠償を請求することができるのでしょうか。
労災保険からは、被害の全額についての補償を受け取ることはできません。また、労災保険からお金が支給されていても、会社の責任がなくなるわけではありません。
このことから、会社が安全配慮義務に違反したために労働災害が発生した場合は、会社に対して、労災保険から支給を受けられない損害(=慰謝料、補償されない減収額、逸失利益等その他の不足額)の賠償を請求することができます。
このような場合でも、会社に対して、損害賠償を請求することはできますか。
他の労働者のミス(過失)によって発生してしまった事故についても、その労働者を雇用している会社に対して、損害の賠償を請求することができます。
このことは、報償責任という考え方に基づきます。すなわち、会社は、労働者を雇用して、会社のために働いてもらうことによって利益を得ています。このため、雇用している労働者が原因となって、逆に損害が生じてしまった場合にも、利益を取得していることと同様に、損害について負担するべきであるというのが報償責任の考え方です。
他の労働者の過失による労働災害の場合、ミスをした労働者個人に損害賠償を請求しても、高額な賠償金を支払える資力がないことが通常です。このことから、実務では、会社に対して損害賠償を請求することが多いと言えます。
労働災害に遭われた方々は、肉体的にも精神的にも大変な状況に置かれているにもかかわらず、会社等から様々な判断を求められることが少なくありません。しかし、ここで安易な対応をとってしまったために、大きな不利益が生じてしまうこともあり得ます。
また、会社に損害賠償を請求する場合にも、専門的な知識を持たず、損害額の正確な計算ができないまま、個人で会社という組織に立ち向かうことは、被災した労働者の方々にとって大きなストレスになるはずです。
弁護士に相談し、今後の取るべき方策を一緒に検討することは、労働災害に伴う様々な不利益やストレスから身を守るとともに、ご不安を和らげ解消することに役立ちます。
お悩みの方や、弁護士に訊いてみたいことがあるという方は、ぜひ一度、当事務所にご相談なさってみてください。